第80章 彼女が何を食べるのが好きか、彼は中尾美希に聞かなければならない

「ねえねえ、あの人ってさ……もしかして海外のモデルとか? スタイル、やばくない……」

「チン!」

受付嬢がうっとりしかけた、その瞬間。隣のエレベーターの扉が開いた。

長谷川栞が降りてくると、正面玄関に立っていた中野航平と、視線がぶつかった。

――本当に、上まで迎えに来るつもりだったの?

受付の女の子たちが「おお……」と小さくざわめき、栞と航平を交互に盗み見する。

若社長は、プライベートでも「いいもの」を食べている。そんな下世話な感想が顔に出ていた。

栞はまっすぐ歩いていく。

航平が口元に薄い笑みを浮かべ、手を伸ばして繋ごうとしたが、栞はすっと避けた。

「てっきり、上まで持っ...

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